IT戦略を成功に導くPoC(概念検証)の重要性と成功のポイント
どうもお世話になります。
株式会社Backpedal 代表の三澤達郎です。
今回は、PoC(概念検証)の役割と成功のポイントについてお話いたします。
前回、システム候補リストアップの重要性と手順について解説しました。
(前回の記事はこちら)
業務プロセスに最適なIT選定|システム候補リストアップの重要性と手順
今回は、IT戦略策定後に行う重要なステップ、PoC(概念検証)を中心にお話します。
PoCの重要性や、実施時の確認ポイント、基本的な進め方を解説します。
この記事で得られるもの
- PoC(概念検証)の概要と役割
- PoC実施時の成功ポイント
- PoCの基本的な進め方
PoC(概念検証)とは?
PoCは、Proof of Conceptの略で、概念検証といいます。
導入予定のシステムのプロトタイプやSaaS事業者が提供するトライアルサービスを使って、戦略が本当に実現可能かを検証するステップになります。
小規模にはなりますが、実業務を想定し、その中で導入予定のITを使って、本当に業務が回るのか。課題やリスクはないのか。
SaaS製品であれば、選定候補の各システムを利用し、どれが自社に最適なサービスなのか。
それらをこのステップで見極めます。
なぜPoCが重要なのか
策定したIT戦略が机上の空論で終わってしまわないように、そして、IT導入を成功させるために、非常に重要なステップになります。
PoCを実施せずに、戦略実行段階に移ると、思ったようなIT導入の成果が得られなくなる可能性が高くなります。
戦略実行段階で、「実際の業務とフィットしなかった」「機能が不足している」などということが起きると、そこまでにかけたコストや期間が無駄になってしまいます。
そういったリスクを軽減するために、PoCというステップを踏むことが大切です。
もちろん、PoCを実施したからといって、そのリスクがまったくなくなる訳ではありません。
PoCでは、細部の検証は行わないため、一定のリスクはどうしても付きまといます。
ただ、根本的に業務とフィットしない、であったり、機能が不足している、なんてことが起きないようにするためには、PoCの実施が必要不可欠です。
PoCで確認するべきポイント
PoCで確認するべきポイントは、以下の5点です。
- 業務プロセスが成立するか(主要な業務に限定/)
- 必須となる機能が備わっているか
- 使いやすい画面、操作性なのか
- サブ機能の有無
- 利用制約や問い合わせ体制(非機能要件)
上記のポイントを確認することで、IT戦略の実現可否を検証します。
また、パッケージやSaaSサービスを導入する場合は、IT戦略策定時に選定したIT候補を上記のポイントで評価し、導入するITを最終決定します。
PoC成功のための基本ステップ
PoCは、まず目的を明確にし、検証範囲を限定。評価基準を設定し、PoC実施後に評価、という流れになります。
実際の手順は、下記の5ステップからなります。
①目的の明確化
まずは、このPoCの目的、確認するべきことを明確化します。
大前提、策定した戦略の実現可能性の確認を行います。
ですが、戦略の中でも例えば、新業務プロセスで業務が回るのかどうかであったり、導入予定のITでどれほど効率化が図れるのかであったり、策定した戦略の肝となる部分を確認することを明確にしましょう。
目的を明確化しないと、途中でこのPoCは何をやっているのか、と着地点がわからなくなってしまいます。
必ず目的の明確化を行いましょう。
②検証範囲の限定
PoCでは、小規模で戦略の実現性を検証するという考え方のため、すべての業務に対する検証を行うことはしません。
そのため、どの業務をどこまで確認するのかを決定しましょう。
代表的な例でいえば、業務プロセスの中でも、主要な業務+α(いくつかの業務)を選定し、その業務の実現可能性を検証します。
戦略の実現性を確認する上では、この検証範囲の設定も重要になります。
③評価基準の設定
評価基準の設定では、戦略の実現性を検証するための検証ポイントという位置付けのものになります。
業務に必須となる機能、あれば嬉しい機能をすべて洗い出し、それぞれの評価基準を設定します。
また、機能面だけではなく、製品の利用時間制約や問い合わせ体制等の非機能要件もここで洗い出し、それらを評価します。
導入コストや運用コストもこの評価基準に設けておきましょう。
④PoC実施
実際に導入予定のITを利用して、小規模で業務を回していきます。
主要な関係者以外にも、実際の業務担当者を交え、操作性や画面の見やすさ等のフィードバックを貰うことが望ましいです。
SaaSサービスを利用予定の場合は、たいていのサービスでは無料トライアルを設けているため、そのトライアルを利用し、仮想で業務を行っていきます。
トライアルでは、利用制限がかかる場合もあるため、その場合はSaaS事業者との調整を行うこともあります。
もし利用制限が解除できず、実施したい業務の検証ができない場合は、実現したいことが実現可能かをSaaS事業者に問い合わせます。
それら一連のユーザー対応でSaaS事業者のサービスレベルを確認することもできるでしょう。
⑤戦略実現性の評価
最後に、戦略実現性の評価を行います。
PoC実施の結果、③で設定した評価基準を満たしているかを確認します。
必須となる機能が評価基準を満たしているか、非機能要件が評価基準を満たしているか、コストは適しているか等、すべての項目について評価をしていきます。
SaaSサービスの選定が必要な場合は、これらをポイント化し、総合的な評価で採用するSaaSサービスを選定します。
また、評価していく中で、課題や懸念が生まれることもあります。そうした場合は、解決策があるのかを検討したり、業務プロセスや戦略の見直しを検討したり、といったことを行います。
戦略の実現性が確認できればPoCとしては完了です。
IT戦略策定と実行の橋渡し
PoCは、IT戦略策定と、その後の戦略実行を繋ぐ橋渡しのような役割を持ちます。
PoCを実施するのとしないのでは、その後の戦略実行段階での解像度が全く違います。
戦略実現性を確認していく段階で実際の業務担当者を巻き込み、意見を貰う機会も作れるため、現場に即したIT戦略にすることができます。
IT戦略の成功の鍵を握る重要なステップだということが伝わりましたでしょうか。
外部企業の力を借りるのも一つの手
ただ、このPoC、なかなか自社内で行うのが難しいかと思います。
ITの技術的な要素も多少含まれますし、たとえば、SaaS事業者とのやり取りする上では、技術的な話を理解している方がやり取りもスムーズになります。
また、検証範囲が広ければ広いほど、実現可能性を探ることができますが、それだけ期間も人員も多く必要となります。
なので、最適な検証範囲の設定が必要となりますが、業務への理解と導入予定のITへの理解が必要であり、その判断は容易ではありません。
そういった場合は、外部企業の力を借りるのが一番確実にIT戦略を進めることができるでしょう。
外部のIT専門家を入れることで、社内の人的リソースを代替することができます。
IT戦略策定からPoCまで一貫した支援
IT導入は、IT戦略策定が最も重要です。
どれだけ優れたITを導入しようとも、現状分析やあるべき姿を定義し、現場の業務に即した導入方法でないと、失敗します。
現場で「業務プロセスに合わない」「機能は豊富だけど、上手く活用できない」といったことが起こってしまいます。
コストや時間をかけて導入するのであれば、それに見合った成果を得ましょう。
見合った成果を得るためには、IT戦略策定です。
IT戦略策定にしっかりとリソースを割くべきです。
そのIT戦略策定を弊社が担えるのであれば、嬉しい限りです。
IT戦略策定にお悩みであれば、ぜひ一度無料相談にお申し込みください。
現状のヒアリングをもとに、貴社に最適なIT戦略、DX戦略をともに策定いたします。
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しっかりと戦略策定を行って、経営戦略やビジョンを実現しましょう。
株式会社Backpedal代表
三澤 達郎
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